転機

2019年10月4日(金) ブログ
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こうやって 改めてIさんの作品を預かり、写真を撮ったりシゲシゲ観させていただくといろんな事を思い出します。 
ゆう風舎が今年27年の歴史を数える、ということはIさんの絵キルト歴も27年になる、ということだからです。
 
元々、オリジナルのアイデアで その年その年の興味あるもの、好きなもの、心境に近いものを表してこられました。
 
神戸淡路大震災で姪御さんとその赤ちゃんを亡くされた年の作品とか、お祖母さんの思い出をさりげなく加えたものとか、そんな心模様を布や糸に託して作ってこられたのですが、私から見ると、最近の深い自己表現の新たなきっかけになった作品はこの作品ではないかな?と思います。
 
これは今から8年前。
未曾有の災害であった東日本大震災、津波の起こった年に作られたものです。
 
起こったのは3月。
ゆう風舎の作品展は4月の終わりから。
 
なのでこの作品は海の部分がほぼ完成していたのです。
 
Iさんは悩みました。
 
大勢の人の命、生活、何もかもを奪った津波…
海を表した作品…どうしよう…
 
悩み悩んだ結果、やはりこのまま海の作品にしよう。
その代わり、希望を持って未来に羽ばたく白い鳥をいっぱい飛ばそう。
 
そう決心して この作品を仕上げました。
 
その後、Iさん自身にもまるで人生の津波のような出来事がいろいろ起こりました。
 
でも、27年間、一度も作品不参加の年はありませんでした。
そして それ以後のどの作品も「辛い時からの再生」を描いておられるように私には思えます。
 
「ここから先へ」
と 彼女自身がつけた副題にもよく表れていますね。