松村さんと渡辺さん

2024年8月10日(土) ブログ

白樺があって、カラ松があって、高原植物があって、適当に美術館巡りが出来て、風がとびきり涼しくて…

今までの信州行きはそのために行っていたのですが、今日はそれに加え、「人」に出会えた旅でした。

山梨県小淵沢で、[えほん村]を開催する絵本作家であり、造形作家である松村太三郎さん。実は私達の大学の大先輩で今年御年80歳。

奥様の松村雅子さんも何冊も出版されている著名な絵本作家です。

今の場所とは違う所にあった初めの[えほん村]の時から数えるといったい何回訪れたかな?

松村さんの作った木製のトイレットペーパーホルダーは(帽子をチョコンとかぶったおじさんが一輪車に乗っていて、ペーパーを使う度にクルクルと車輪が回ります)今でも2階のトイレのお気に入り。

その後、木製のおもちゃや絵本やポストカードを仕入れさせていただいたりしました。

一昨年訪れた時はご病気だったとか、でも今日はとってもお元気で、昔からのお話をたっぷり聞かせていただき、貴重な時間を過ごさせていただきました。

「自分達が終わる時は一緒に閉めるつもりです」

と、おっしゃってましたが、あそこまで手作りの夢のある施設、子ども達のためにもきっと誰かが受け継いでほしいと思います。

そして今回のメイン。

お気に入りの八ヶ岳高原ロッジでの宿泊。

近くに音楽堂があり、ヘタなピアノを練習している私としては何かカルテットとかやっていればいいなぁ、と調べてもらったのですが、その日は歌手の渡辺真知子さんのサロンコンサート。

(じゃあ、いいか…)

と思っていた矢先、テレビ番組[新・美の巨人]でなんと八ヶ岳高原音楽堂の成り立ち、建物の特徴、内側の音響効果、疲れないように設計された観客椅子の事が詳しく紹介され、どうしても行きたくなりました。

以前、ロッジの裏側の林を抜け、音楽堂の周りを散歩した事はあったのですが、リヒテルという有名な音楽家が「自然とマッチした音楽堂を」というコンセプトを打ち出し、吉村順三という当時高名な建築家が病後齢80歳過ぎに設計なさった事、カラ松や米松等木製で作られてこその柔らかい音響効果、その上、お天気が許せばステージの背景に富士山が見える、などと聞くとそれはもう中に入ってみるしかありません。

その時点でちゃんとチケットも取れました。

入場してからクジで引く座席はなんと前から2番目。

(そんな前でなくてもいいんだけど…良い音さえ聴けたら…)くらいに思っていたのですが…

ピアノ、ベース、ドラムの3人がスタンバイする中現れた渡辺真知子さん。

一瞬で持っていかれました。

衣装、お化粧、おしゃべり、そしてもちろん歌、どこまでもどこまでも「プロ❗️」でした。

気がつくと私は目が痛くなるほど泣き、手が赤くなるほど手を打っていました。

渡辺真知子さんはヒット曲を何曲か持っておられるベテランの歌手…ではなくて、

今を感じ、今を考え、そして人のために表現する芸術家でした。

3時からという昼間のコンサート、ガラス張りの外は青空、白い雲、陽の光をあびて風に葉を揺らす白樺やカラ松…

そんな贅沢な時間を過ごしながら、私は遠く播州で病と闘いながら自分のやりたい事との狭間で悶々としておられるだろうNさんの事を想い、余計に涙が出たのです。

なんとか彼女の想いが果たせないかな、人形劇のための人形の作品展、実現できないかな。

渡辺さんの歌を聴いて元気をもらう、その反面、元気でない人のことが辛い…

そんな感じです。