マンロー・リーフ

2010年9月6日(月) ブログ
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マンロー・リーフ
なんとなく 美味しそうなこの名前。
実は昨日ブログで紹介したニューヨーク生まれの作家の一人です。
1905年生まれのこの方、教員生活を経験した後、出版社の編集者に転身、仕事で子供の本の挿し絵画家に注文を付けるとき、説明がてら自作の落書きのような絵をつけていたところ、
「その絵がおもしろい!」
と言われ、いつのまにか自作の挿し絵で本を書くようになったという経歴の持ち主。
代表作の[はなのすきなうし]はロバート・ローソンという人の絵で、これは私は大人になってから、落合恵子さんのお薦めで知った絵本です(素晴らしい名作です)。
その隣の本。
今やピカピカの新しい本ですが、これのぼろぼろバージョン…
それが何を隠そう、小さな時の私の一番の愛読書だったのです。
この本があったおかげでどれほど幸せだっただろうか?そんなふうに思うくらいです。
でも、勿論、長い間、そんなことも忘れて暮らしていました。

[岩波の子どもの本]が復刻されて何年になるでしょうか?
忘れもしません。
数年前に知人と岡本にある図書館でこれをみつけた時は一瞬時が止まったような、現実ではないような、本当に懐かしい嬉しさがこみあげてきたものです。
家にあったのは たぶん私のではなく、兄の本です。
落書きのような、漫画のようなふにゃふにゃの絵とユーモラスな内容が大のお気に入りで、何度も何度も見ている私に7歳離れた兄は
「これは法律の本やねんで」
と言っていました。
なるほど。
1ページめを開けてみると、地球の一部とおぼしき簡単な絵に、これまた簡単な一人の人がたっていて
「もしも、このひろい世界に、人がたったひとりしかすんでいなかったら、そして、」
2ページめには
「そのひとりが、あなた(男の子の簡単な絵)でも、あなた(女の子の簡単な絵)でも」
3ページめにはおまわりさんやえいがスターやおいしゃさんや、おひゃくしょうさんたちの簡単な絵がズラリと並び、
「このひろい世界には、あなたばかりでだれもいないことでしょう。」
と続きます。
まだまだ、まだまだいっぱい続きます。
そしてこの世界にはいろんな人が暮らしていて、そのためにはいろいろ守らないといけないことがあることを (簡単な絵)とともにユーモラスに説明してくれます。
最後の章にはいろいろな[困った人たち]がアップの(簡単な絵)とともに紹介されます。
「これは(いやいやさん)です…」
というふうに。
子ども心にもおもしろくてクスクス、何度読んでも飽きませんでした。

この本の初版は1939年。
[はなのすきなうし]は1936年。
マンロー・リーフは偉大です。