Mさん節
京都の和菓子の老舗[末富]さんの生菓子といえば、小さな一つが¥400以上。
作りたてにこだわられますからデパ地下に卸すのも数少ないので午前中に行かないとありません。
その昔、母と私は Mさんが本店から買ってきてくれる[末富]さんのお菓子を楽しみにしていたものです。
そんなMさんのおうちを訪問するのに何をお土産に買っていこう?
京都駅の伊勢丹にはたぶん[末富]さんは入っていないだろうけど、何か上等のお菓子を少しだけ買っていこうか?と思っていたところ、朝起きた人身事故のために姫路で時間のあった私は
(やはり、京都ではなくてこちらのものにしよう)
と、お土産売り場に急ぎました。
一人暮らしなので、チンとしたら食べられる明石焼きを一箱、焼きアナゴも一匹入り、姫路銘菓の[玉椿]も5個入りの細長い箱…。
たったそれだけなのに、Mさんは喜んでくれて、何度も何度もお礼を言ってくれるのです。
当日は勿論、帰宅してから電話を入れた時も、そして夕べかかってきた電話の時も…。
私は何とも言えない気持ちになりました。
京都セレブ御用達のデザイナーとしてバリバリ働き、海外へもしょっちゅう旅行、生涯独身とはいえ、ちゃんと大学教授の恋人までいた(数年前亡くなりました)Mさん。
料理上手で迫力あるグルメだったMさん。
87才だもの、やっぱり独り暮らしは…。
そんなMさんの、昔と変わらない口調が炸裂したのは、5月の私のテレビ出演話です。
どうもMさんには 長年、私が作ってきた絵キルトではなく、オーガンジーのカフェカーテンだったことが気にいらない様子。
その上、(できるだけ顔がはっきり見えないように)こだわった私の髪型も(;^_^A
「だって、いっぱい見えないようにしたんよ」
「解ってるえ!でも、明晰な感じがせえへんわ!」
と、ボロクソです。
しまいには(却って、テレビ出演はマイナスだったのでは?)
と、実はいたく心配してくれていたそうで(;^_^A
昔から歯に衣着せぬ物言いにはよく笑わせてもらいましたが、今回も横で笑い転げている母が目に浮かびました。
でも、ホント、又秋になったら行かないと…。
母の病院にも最後の最後まで来てくれたMさんです。