海からの風

2012年6月20日(水) ブログ
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[レース&リネン展]を始めてから何年になるでしょうか?

リネンとレースの魅力を私達なりに伝えたく、そのためにいろいろな方たちの協力による作品を並べ、そして[絵本図書館]としてのテーマを毎年考えて、展示をしています。

とても綺麗で楽しい作業ですが、やはり、6月7月というと、毎年の[布と糸でつくる夢展]終了後まもない、という作業期間の短さがネックかもしれません。

それでも、いくら「レースは年中、魅力」と言っても、清々しいコットンレースの服とか、涼しい風をはらむ窓辺のカーテン、と言えば、やっぱり今の季節ですよね。

私にとって[レースのカーテン]のイメージの元、と言えば、学生時代に観たアンドリュー・ワイエスの絵[海からの風](写真)です。

父に誘われたんだったでしょうか?
京都国立近代美術館で初めて観たアンドリュー・ワイエスの絵に、私はすっかり魅了されました。

(静かな感動)というのでしょうか?
とにかく(シーン)とした絵でした。

アメリカのペンシルバニア州?メイン州?
広々と乾いた大地に立つ家や風景。
人物。
人物が描かれていなくても、人の気配が感じられます。

〈アメリカ〉という国の、違う印象に気づかされたのは、この時が初めかもしれません。
(もちろん、マイケルのことで再び、ね!)

この絵は油絵ではなくて、テンペラ、という技法です。
裾がほどけた古いレースのカーテン。
古い木枠の窓。
たぶんワイエス自身の家ではありませんね(彼はある程度、裕福な家庭に育ったみたいですから)
代表作[クリスティーナの世界]のクリスティーナの家でしょうか?
黒人雑役夫トム・クラークの家でしょうか?

風をはらむレースが克明に描いてあるだけで、(自然)や(環境)(暮らし)はたまた住んでいる人の(人となり)まで描かれているんですね。

もちろん、若かりし当時の私はそんなことまで感じたかどうか?とにかくその後もずっと好きな画家でした。

そして、ワイエスがやはり、辛い環境ながら懸命に生きる人(障害を持っていたり、貧しい黒人たち)を敬愛し、作品に昇華していたことを、ずっと後から知りました。