上野千鶴子さんの祝辞

2019年4月13日(土) ブログ
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東大入学式での上野千鶴子東大名誉教授の祝辞が評判になっています。
 
数々のジェンダー論や安保法制問題の頃のフットワークの軽い活躍で注目していましたが、さすがだなあ、と感銘を受けました。
全文はネットで出ています(ぜひ全文読んでほしいです)が、長いので最後の方だけ抜粋してご紹介します。
 
東大のこと、なんて全く関係ない私ですが、現代を生きる私達に共通のことを言って下さっていると思うからです。
 
「前略
 
あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。
 
ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
 
そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
 
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。
 
世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。
がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
 
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。
 
そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。
 
異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。
 
あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。
 
大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。
 
知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。
 
ようこそ、東京大学へ。」