野の花
取材で聞いていただく質問の中には必ず「どんなところが一番大変でしたか?」
と、いうことがあります。
終わってみると、悩んだこととか苦しかったことは不思議なことに霧散してしまって…
いろいろ思い出すと、やっぱり 長い原作にある様々な魅力的なエピソードの中からどれとどれを絵本に詰め込み、どれを諦めるか?という 始めの作業が難しかったな、と思います。
場面をやっとこさ決めて、具体的な絵にする作業も。
ここでやっぱり深刻なのは19世紀のスイス、山岳地帯の暮らしの様子を知らない、ということです。
もちろん いろいろな参考文献を調べ、ググっても見、ある程度わかってきますが、その通りに描くとやはりなんだか暗いイメージです。
決して豊かな生活ではなく、服装も…
それと、アルプスの景色、高山に咲く植物たち…
どちらもあんまり考えすぎると手も足も出ない気分です。
開き直りました。
(申し訳ないけど、そして時代考証や自然描写は少々めちゃくちゃだけど、私は私なりに楽しんで作ろう)
と…
そんな訳で表紙の花達も 14、15ページに広がる草花も 本当はこんな風には咲いていないはずです。
もっと丘一面、キンポウゲ様の花やタンポポ等がブワーっと咲いていたり、
岩陰にちょこっと咲いていたり…
でも、ひょっとしてハイジには 感動でごっちゃになって、こんな風に見えたかも?と思って描きました。
表紙はちょっと縦長ですが、パネル柄では空の部分は切って 少し横長に 中央に入れました。
この部分、縦37cm、横41cmありますのでトートバッグやレッスンバッグにそのまま使ったり…。
Hさんは周りにグリーンのリネンを配し、元気の良い野の花をいろいろ刺繍しておられます。
パネル柄の花と周りの刺繍の花に一体感が生まれて素敵なタピスリーになりそうです。