市川里美さんの絵
「受験生ではないので自分の好きなモチーフを描けばいいんですよ」
と、言っても、忙しいお仕事の合間の趣味で少しずつ絵を描いておられるMさんには なかなか「これ!」という題材がみつけにくいようで…。
確かなデッサン力をお持ちなのに、ちょっと硬いな…。
彼女の作るお洋服には、楽しい、意外性のある遊びがちょこちょこ施されているのにな…、と、私も彼女の持ち味を探しながら、彩色したスケッチなどを続けてもらっています。
今日から古いお人形を。
それで、思い出してこの、市川里美さんの画集[愛されたお人形]を取り出してきてお見せしました。
パリを旅した先でみつけたモンベルさんの絵本にすっかり魅せられ、その後パリに渡って、独学で絵の勉強をした市川里美さん。
外国の絵本作家のように楽しいデフォルメや大胆な色彩構成はないけれど、対象と真摯に向き合い、時間をかけて誠実に写し取ったその絵には、人柄までもが滲み出るものだなあ、と感銘します。
この[愛されたお人形]は 数年前、西宮で開催された原画展で 初めて観たので、原画ならではの迫力にすっかり夢中になったのを覚えています。
フランスの家庭で、子ども達が大きくなり、今はほったらかしにされたお人形の、くたっとしたポーズ、ちぎれかけた手足、ところどころ薄くなった質感…。
この、愛らしいような寂しいような人形の姿にインスパイアされ、私も幾つかの作品を作ったものです。
何年かたった後、古本屋さんで、連れ合いがこの本をみつけてくれたのです。
しばらく遠ざかっていましたが、Mさんのおかげで久しぶりに…。
さて、お人形といえば、昨日から作っている新しいウサギさん。
明日には完成したのがお見せできるかな?