海のキルト
昨日、今年の作品展のお知らせを出させていただきましたが、あの写真の他に 案内ハガキには後、2種類あります。
出品していただく方の中から順番にお二人ずつの作品です。
今年はIさんとOさんの。
作品展は今月末からですが、写真撮りやハガキ印刷のために少し早めに仕上げていただきます。
久々に順番が回ってきたIさんも、張り切って仕上げに近づけて頑張ってくれていました。
一枚のキルトの中に 海の様々な時間帯、様々な表情を表そうと、得意のビーズ刺繍をおりこみながら…。
そんな時でした。
あの地震が起こったのは…。
いろんな困難を乗り越え、常に明るく前向き、滅多に弱音を吐かないIさんが、
「このキルトは出せません(T_T)ハガキも辞退した方が…」
と言ってきたのです。
津波によって未曾有の被害が次々と明らかになって…。
私は仕方なく、
「まだもう少し日があるから、結論を出さずゆっくり考えましょう」
とだけ、その日は答えました。
それから数日後。
「頑張って仕上げます。全体にもっと明るい色調にして、希望を表す白い鳥を全面に飛ばします。頑張ります。」
とのメールが届きました。
ニュースで、あんなにひどい目にあったのに
「いつか又、海に出たい…」
とおっしゃっていた漁師さんの姿を見て 気持ちが変わったようでした。
ほとんどできていた波間の光用の刺繍も少しほどき、よりキラキラ光るシルバーの刺繍糸を増やし、画面全面に飛び立たせた白い鳥にも刺繍を施しました。
確かに以前と印象がずいぶん変わりました。
何より、Iさんの
(被災された方の心に寄り添って頑張っていきたい)
という決意で、(作品がとっても強くなったなあ)と思いました。