絵本おとうとⅡ
昨日、ゆう風舎にやって来た絵本。
松本春野 文・絵
山田洋次 監修
松本さんは1984年生まれと書いてありますから今年30歳。
若い松本さんの描いた昭和の子ども。
ほのぼの、しみじみしたいい絵本です。
絵も素晴らしい。
巻末にある山田洋次監督の言葉を写します。
「吉永小百合さんと笑福亭鶴瓶さんが姉と弟を演じる作品[おとうと](2010年)の撮影現場に春野さんがときどき遊びに来ていたのは知っていた。
大勢のスタッフが真剣に声をかけ合いながら生き生きと働く映画撮影の現場は誰にとっても魅力的なのだが、春野さんはさまざまなスタッフの姿を愛情と敬意をこめてデッサン帳に描き、求められるままにプレゼントしていたらしい。
いつのまにかユーモアの漂う春野さんの人物描写が評判になり始めた。
[おとうと]のイラストポスターを春野さんに描いて貰おうという声がスタッフの中から上がってきたのにはぼくも驚いたが、若い春野さんはびっくりしたに違いない。
どんなにか苦労を重ね、夜も眠らずに筆を走らせ続けたことだろう。
充血した目の春野さんが持参したポスターの原画にスタッフは声を上げて喜んだものだった。
手をつないだ幼い二人。
優しくて賢いお姉ちゃんと腕白坊主の弟の可愛い姿のポスターから、今度は絵本が生まれた。
この物語の背景には今日日本人が憧れをこめて振り返るあの戦後といわれた時代、昭和30年代から40年代にかけてのこの国の歴史がある。
若い春野さんはそれを学び、大変な努力をして、ユーモラスな絵本を創り上げた。
この絵本が「続」から「続々」へと、寅さんシリーズのように続いたらどんなに嬉しいことだろう。」