見事なコラボ
福島県出身、詩人の長田弘さんのファンは身近にも多数いらっしゃいます。
特にゆう風舎では 絵本画家のいせひでこさんとコラボされた絵本が人気です。
この本はなんとオーストリアの有名な画家、グスタフ・クリムトとのコラボです。
クリムトと言えば官能的、頽廃的、そして装飾的な女性像で超有名ですが、この本では そうではないもう一つのクリムトの絵の魅力がとても静かに深く判ります。
本の名前は[花を持って、会いにゆく 人生は森のなかの一日]
そう、長田さんの二つの詩、[花を持って、会いにゆく]と[人生は森のなかの一日]の詩文がクリムトの描く、圧倒的な花畑や森の樹々の絵と共に静かに語りかけてくれる本なのです。
たとえば、
「春の日、あなたに会いにゆく。
あなたは、なくなった人である。
どこにもいない人である。
どこにもいない人に会いにゆく。
きれいな水と、きれいな花を、手に持って。」
「どこにもいない?
違う、となくなった人は言う。
どこにもいないのではない。
どこにもゆかないのだ。
いつも、ここにいる。
歩くことは、しなくなった。」
「ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指さすのが、ことばだ。」
「森には、何一つ、
余分なものがない。
何一つ、むだなものがない。
人生も、おなじだ。
何一つ、余分なものがない。
むだなものがない。」
……きりがありません。
もうすぐ今年も8月。
私もきれいな花と水を持って、大切な人たちに会いに行こうと思います。
あ、そうそう、言い忘れ…
この本に出会ったのは、今、ゆう風舎絵本図書館が[ドイツ*オーストリア]の特集だからですよ。
クリムトの新しい魅力、発見。
日本の長田さんとぴったり合うなんて…