今日は、この辺りでも〔とんど〕左義長です。
わざわざ焼きに行く訳ではありませんが、ちゃっかり鏡開きのおぜんざいだけは炊きます(^_-)
そうして、お鍋に小豆が柔らかくなるところを見ていると、必ず、思い出す本があります。
小学生の頃、読んだ〔にあんちゃん〕
母が、兄にも私にも読ませたがった本。
10歳くらいだったでしょうか?
日本名[安本末子]さんという在日韓国人の書いた日記です。
タイトルの〔にあんちゃん〕とは2番目のお兄ちゃんのこと。
両親は亡くなり、一番上の〔お兄ちゃん〕は二十歳になっていたのかなっていないのか?親がわりに働いていたので、中学生だったにあんちゃんとの暮らしの様子がほとんどだったのです。
世界中のほとんどの人と同じく、母を大好きだった私は(お母さんがいない)という事実だけで、可哀想で可哀想で仕方がなかったのです。
私が小学生だった頃よりも以前の、戦後間もない頃の生活ですから、普通の、日本人でも生活が苦しかった頃、若い在日のお兄ちゃんが稼いでくるお金がどんなものか、生活がどんなものか…。
読んでいて辛いものです。
でも、この本がベストセラーだった理由…それは末子さんもにあんちゃんも純粋で明るく、前を向いていたからでしょう。
ところどころ、ホッとするような話題も出てきます。
詳しい事は忘れてしまいましたが、どういう訳だったか?末子さんはある日小豆とお砂糖を手に入れ、(お兄ちゃんが買ってきたのかなあ?何かの日に)久しぶりにおぜんざいを炊くのです。
学校から帰ってきたにあんちゃん。
どんぶり鉢は一つしかないので、にあんちゃんは当時のペタンとしたアルミ製のお弁当箱に入れておぜんざいを食べます。
(おいしくておいしくてこんなに美味しいものはないと…)
その日の日記に末子さんは書きます。
気の毒な生活ぶりを読む度に 悲しくて
「今はどうしたはるの?」と訊ねる私に、母は
「きっと、本が売れてきっと良い暮らししてはるよ」
と言っていたものです。
にあんちゃんもお兄ちゃんも立派な大人になっていること…。
もう、この本の題名も目にしなかった昨今。
先日、俳優の長門裕之さんが亡くなった時に新聞で懐かしい文字をみつけました。
長門さんは映画化された[にあんちゃん]でにあんちゃんを演じたのです。
たしか末子さんは二木てるみさん。
小さい時に感動した本。
私の原点の一つです。
それが最近知り得たマイケルに真っ直ぐつながっているとは!
おっと、こんな事を書くと、又スタッフさん達に笑われますね(^o^;)
でも、本当に、今の子供さん達にも、ゲームで遊ぶばかりではなく、読んでほしい本がいっぱいあります。
と、そんなわけで、おぜんざいを炊くと、必ず、アルミ製のお弁当箱が頭に浮かんでくるのです。