安野さんも
安野光雅さんの絵本もゆう風舎で人気があります。
小学校の算数の先生だったという安野さん。
緻密なのに柔らかい情緒のある絵。
綿密に計算された「騙し絵」だったりするのにユーモアの溢れた可愛い絵。
本当にたくさん、たくさんの素晴らしい絵本を出版され、国際的ないろいろな賞ももらっておられます。
その中でも安野さんの代表作といえばやっぱり[旅の絵本]ですね。
うちにある一番最初の[旅の絵本]は1977年発行、と書いてあります。
それから昨年2013年に出た[旅の絵本Ⅷ]まで、8冊もあるのですね。
ちなみにゆう風舎には6冊しかありませんが。
最新作の[旅の絵本Ⅷ]は日本がテーマです。
昭和の始めかな?
少し昔ののどかな日本の海や山や村の様子がいつものように細かに美しく楽しく描いてあります。
(なんで、今、この風景を?)
答え、というか安野さんの気持ちは巻末、6ページに渡って書いてありました。
ちなみに他の[旅の絵本]の「あとがき」はどれも1ページにも満たないのですが…。
「電気のなかったころのこと」
そうです。
やっぱりこの絵本は2011.3.11 あの原発事故の後描かれた安野さんからのメッセージなんですね。
6ページに渡る[あとがき]の最後のほうだけご紹介しますね。
「………
いまいちばん問題なのは、子どもたちが放射線物質に侵されるのではないか、ということです。未来の日本を生きるのは、その子どもたちです。
歳とったせいか、このごろ、二十代のおかあさんがつれている子どもがよく目につきます。昨日も近くのスーパーマーケットで、小さい女の子とそのお兄ちゃんらしい子と三人が、腰をかけて休んでいるのを見ました。お兄ちゃんが指さす彼方を見て、おかあさんが何かいっているところでした。
この子どもや、おかあさんたちにとって、これから先の日本が、幸せな国でありますように、願わずはいられません。
2013年5月5日 安野光雅 」