烏頭尾先生は大学時代の恩師です。
その頃は助教授成り立てで、若々しく、失礼ながら「画材屋さん」と間違ったくらい気さくで謙虚な先生でした。
恐れ多くも結婚式にまで臨席して下さったくらいです。
そんな烏頭尾先生、今も現役で創作活動を続けておられます。
御年92歳、創画会の重鎮として活躍中。
そんな先生から個展の案内状、招待券まで同封していただきました。
以前あべのハルカスで開催された時は伺えなかったので昨日、定休日、つれあいが名古屋近郊にある名都美術館へ出かけていきました。
私は大阪に用事がある日だったので残念ながら。
烏頭尾先生の日本画の主題は「鳥」そして故郷であり、ずっと住み続けておられる飛鳥の風景です。
長年の人生、画業の中でそれらのモチーフはどんどん変化し、いわゆる無駄なものが剥ぎ落とされ、朦朧とした心象風景に昇華しています。
各々の作品をご紹介できませんが、先生の「挨拶」文の一部を載せさせていただきます。
「2022年に卒寿を迎え、更なる表現を求めての絵仕事が続くことに感慨無量です。
長い画業の間で、ありがたい出会いが多くあり、今の自分を熱くしています。
人生の中で『如何なる人や物と出会うか』がとても大切な事ですが、少しでも多くの生命をいただければ、更なる出会いが確実に重ねられるのです。だが、それぞれの命に限りがあり、会者定離の理はせつない事実です。
中略
振り返りますと 鳥たちと出会い、いつしかその鳥が風景の中を飛び交い、そして見えてきた風景は私の生まれ育った飛鳥京から古都藤原京・平城京・平安京へと広がり、其処に見事なまほろば感と風土感に魅了されました。
さらに描いてきた背後には、先の大戦の戦前、戦中、戦後の激動の時代が影を落とし込んでいます。
その事から出会った『風土が色彩を与え、描いた時代が作品に形を』与えてくれたようです。
私の中では残された時間も少なくなりましたが到達すべき憧れの日本画とはいかなるものかと卒寿を迎えてもまだ道遠しの感なのです。」
そっかー、やっぱり芸術の道って果てしないからこそ楽しいのですね。